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「知る」— Finaleでの管楽器スコア制作


楽器別フィナーレ活用術VOL.3:管楽器編

管楽器の楽譜には、各種ミュートやゲシュトップ、グリッサンドなど独特の奏法指示や記号が使用され、また楽器ごとの移調設定など管楽器特有の項目も多く見られます。Finaleファミリー製品はこうした管楽器用の楽譜作成もしっかりとサポートしています。音域チェックやピアノ・リダクション作成など、ちょっとした便利機能や、グレードごとの機能の違いとともにご紹介いたします。

Wind x Finaleファミリー



1. 音符入力

音符や休符の入力に関しては、複数の方法(ツール)が用意されています。ツールごとに特徴があり、得意なシチュエーションや操作感の違いなどがありますので、複数の方法を交えつつ併用すると効率的な場合があります。例えば、リアルタイム入力で大枠を作成し、細かい箇所は高速ステップ入力、入力後のチェックと修正はステップ入力で、といった手順もよいのではないでしょうか。


Finale NotePad

  • NotePadではステップ入力が用意されています。マウスでのステップ入力では、音価をパレットで指定しておき、五線をクリックすると音符が入力されます。MIDI鍵盤でのステップ入力は、パレットで音価を指定し、鍵盤を演奏すると、順番に音符が入力されていきます。

    ※MIDI鍵盤を弾いて音符を入力するには「ステップ入力>MIDIキーボードを使用」にチェックを入れておきます。

Finale SongWriter

  • SongWriter以上では、さらにリアルタイム入力も可能です。リアルタイム入力ツールを選択し、録音ボタンを押してメトロノーム音に合わせて演奏すると、そのとおりの音符が入力されます。

Finale PrintMusicFinale

  • PrintMusicとFinaleでは、マウスやパソコンキーボード、外部MIDIキーボード等を組み合わせた多彩な入力方法が用意されています。中でも「高速ステップ入力」では、通常の音符/休符はもちろん連符など複雑なリズムの音符/休符もマウスで画面内を行き来する煩わしさなしにパソコンキーボードのみで素早く快適に入力することを可能とするFinaleならではの機能です。プロユーザーの多くもこの入力方式を採用しているほどですので、ぜひマスターしてみて下さい。もちろん、外部MIDIキーボードとの併用も可能です。

    高速ステップ入力モード。複雑なリズムの音符や休符も素早く入力できる。入力後、高速ステップ入力モードから抜けると音符が最適な間隔で再表示される高速ステップ入力では、カーソルを配置し、上下矢印キーで音程を指定し、音価を指定する数字キーを押すと音符が入力されます。休符を入力したい場合は、音符入力後に休符(Rest)の頭文字「R」のキーを押すと、同じ音の長さの休符に変換されます。連符を入力したい場合は、音符入力前に「Ctrl(Mac版:option)+任意の数字キー」を押し、連符モードに入って下さい。


2. 移調

管楽器にはさまざまな移調楽器があります。in Ebのアルト/バリトンサックス、in Bbのトランペット、in Fのホルンやコーラングレ、オーケストラのトランペットやホルンならin C、in Dほか多数…、in Gのアルトフルート、実はオクターブ移調されているピッコロ…挙げるときりがありませんが、Finaleファミリー製品では、移調楽器向けの便利な機能もしっかりと用意されています。


Finale NotePad


Finale SongWriterFinale PrintMusic

  • 五線名をスコア・マネージャーで編集SongWriter以上では「スコア・マネージャー」から正式五線名や省略五線名の編集も可能です。例えば、デフォルトではトランペットin Cの省略五線名は「C Tpt.」ですが、これを「Tp. in C」にするなど、自由に書き換えることができます。
  • 「スコア・マネージャー」を開き、移調楽器の選択肢から目的の設定を選択する」なお、「スコア・マネージャー」ではプリセットの中から移調楽器の手動設定もできるため、汎用の五線を特定の移調楽器用に編集することも可能です。例えば、in Cのリードシートをアルト・サックス用(in Eb)に変更するには、スコア・マネージャーを開いて移調設定に「(Eb)長6度上げ、シャープ3個追加」を選択するだけです。

Finale

  • 調号を使わず臨時記号表記で対処される最高峰のFinaleでは、「調号を使わず臨時記号表記にする」にチェックを入れると、調号が表示されず臨時記号で処理されるようになります。例えば、オーケストラのホルンやトランペットでは、調号を表記しないケース(ナチュラルホルン/ナチュラルトランペット使用時代の曲など)に有効です。


3. 管楽器向けの記号と奏法

Finaleファミリーでは、「発想記号ツール」や「アーティキュレーション・ツール」を使って演奏指示用のさまざまな記号を入力します。管楽器曲でよく使われる記号類もこれらのツールで入力することができます。

(a)発想記号とアーティキュレーション


Finale NotePad

  • NotePadでは基本的な記号をリストから選択して入力するNotePadでは、テンポ表記(BPM)やリハーサルマークはテキスト・ツールで入力することが可能です。発想記号については強弱記号や速度変化記号など、基本的な記号が用意されています。アーティキュレーション記号については管楽器でもよく見られるプラルトリラー、モルデント、ターンやトリルなど装飾音や、ブレスマークなどが入力可能です。
  • テキスト・ツールで入力した文字のフォントやサイズは設定可能なお、テキスト・ツールではフォントやサイズを自由に変更可能です。下図では「Kousaku」フォントのキャラクター「+」「0」を用いてホルンのゲシュトップ記号を入力しています。Kousakuフォントは日本の楽譜出版向けに国内で開発されたフォントであり、楽譜向けのキャラクターがたくさん用意されています。このようなプロフェッショナル仕様のフォントが無償版のNotePadでも利用できることはFinaleファミリーの大きな特長の一つと言えます。

    ▼Kousakuフォントのキー配列表を見る
    Windows版Mac版

Finale SongWriterFinale PrintMusic

  • PrintMusicでの発想記号の選択画面SongWriter以上では、発想記号としてリハーサルマークやテンポ表記が用意されています。発想記号として作成すると記号としていつでも呼び出せるなど、テキスト・ツールで文字入力するだけでは得られない便利な機能が利用できます。詳細は楽器別フィナーレ活用術VOL.1:ギター編に記載していますので、そちらをご参照下さい。
  • SongWriterやPrintMusicでは記号の新規作成の他、用途の似た記号を「複製」して「編集」することが可能です。例えば「Bucket Mute」「Straight Mute」など管楽器の各種ミュート記号は発想記号にプリセットがありませんが、同じカテゴリに属する「Con Sord.」を複製/編集して作成できます。この場合はフォントやサイズ、配置位置、属すカテゴリの指定などの設定は必要ないので、文字だけを編集して素早く記号を作成することが可能です。

Finale

  • アーティキュレーションとしてゲシュトップ用の記号を作成さらに、アーティキュレーション記号も新規作成できます。ゲシュトップの「+」やオープン用の「0」も、好みのフォントやサイズで作成/登録が可能で、音符に対して最適な位置に自動で配置されます。その都度フォントを設定したり位置を調整したりといった作業は不要です。

(b)記号のプレイバックへの反映(HumanPlayback)


Finale NotePad

  • NotePadではHumanPlaybackのオン/オフの切り替えが可能です。

Finale SongWriterFinale PrintMusic

  • SongWriterおよびPrintMusicではオン/オフの他にHuman Playbackスタイル(様式)の切り替えも可能です。

Finale



4. スラー、グリッサンド等

Finaleファミリー製品では、スラー、グリッサンドなどは変形図形ツールを用いて伸縮や角度変更などを行いながら入力可能です。変形図形ツールはいずれの製品にも搭載されていますが、その機能は製品のグレードにより異なります。


Finale NotePad

  • スラー・ツールで入力したベンド表記管楽器でよく見られる、しゃくり上げたりフォールダウンする記号(ベンドやグリス、DoItなど)は多種多様ですが、図のような場合にはスラー・ツールで入力することができます。変形図形のスラーを入力する際に、終点の音符を選択しないように入力すると、終了地点の定まっていないスラーが入力されます。これを、ちょうどよい位置や形に調整します。

Finale SongWriterFinale PrintMusic


Finale



5. コードネーム

ジャズやポップスのリードシート作成時、あるいはビッグバンドのソロスペースや吹奏楽のポップスアレンジでのソロ表記には、コードネーム(コードシンボル)は欠かせない情報の一つです。


Finale NotePad

  • NotePadのテキスト・ツールで入力したコード譜NotePadでは、テキスト・ツールを用いてコードネームを入力します(テキスト・ツールで入力したコードネームは、移調には追従しません。また、その都度フォントやサイズなどを適したものに設定する必要があります)。

Finale SongWriterFinale PrintMusic


Finale

  • 最高峰のFinaleでは、コードネームのフォントサイズ変更や「Csus2」といったユーザー定義によるコードサフィックスの作成も可能です。


6. レイアウト

音符や記号の入力が完了したら、レイアウトをしておきましょう。両手の塞がることの多い管楽器においても、譜めくりのしやすさは大切な事項です。詳細は楽器別フィナーレ活用術VOL.2:ピアノ編に記載していますので、そちらをご参照下さい。


Finale NotePad

  • NotePadではフレーズに従い自動でレイアウト調整され、レイアウトのカスタマイズはできません。

Finale SongWriterFinale PrintMusicFinale

  • SongWriter以上のグレードではより詳細なレイアウトが可能です。レイアウトでは、主に以下の操作がポイントとなります。
  1. <ページあたりの組段数>
    1ページあたりの組段数を自在に調整できるページ・レイアウトツールのメニューから「組段の均等配置」では、1ページあたりの組段数を調整するための項目が用意されています。
  1. <組段あたりの小節数>
    1段ごとの小節数を調整できるメニューの「ユーティリティ>小節のはめ込み」では、1段あたりの小節数を調整できます。


7. 印刷/パート譜

ここでは完成した楽譜の印刷について取り上げます。PrintMusic以上ではパート譜の作成も可能です。


Finale NotePadFinale SongWriter

  • NotePadの印刷メニューファイルメニューの「印刷」を選択すると、印刷設定のダイアログ画面が表示され部数などを設定して印刷することができます。パート譜が必要な場合は、NotePad とSongWriterでは、別途パート譜を作成するか、複製したスコアファイルから不要な五線を削除したものを別名保存してパート譜にするなどの使いこなし術により、作成することが可能です。

Finale PrintMusic

  • PrintMusicではパート譜を別ファイルに書き出せるPrintMusicでは、パート譜を別ファイルとして書き出すことが可能です。オーケストラや吹奏楽など大編成の楽譜では、パート譜の作成も一苦労ですが、パート譜を別ファイルとして書き出すことで大幅に作業を軽減できます。

Finale

  • Finaleの印刷ダイアログ最高峰のFinaleでは、印刷するパート(スコアや各パート譜)を選択するなど、詳細な設定も可能です。
  • Finaleでは「書類>パート譜の編集」からすべてのパート譜に切り替えられるさらに、スコア作成と同時に、パート譜も同一ファイル内に用意されており、パート譜だけの印刷なども可能です。スコアとパート譜はリンクしており、お互いの編集内容をリンクさせたり、場合によっては独立させることも可能です。パート譜を編集するには、「メニュー>パート譜の編集」から目的のパートを選択します。


8. その他の便利機能

その他の管楽器で有用な便利な機能などを紹介します。

(a)音域チェック


Finale PrintMusicFinale

  • プレイヤーの習熟度設定で警告する音域も変化する音域チェックでは、プレイヤーの習熟度まで考慮して、無理な音域が記譜されていないかを色(黄色)で示してくれます。自分では演奏しない楽器の場合は、ともすれば音域にまで意識が及ばないこともあるかもしれませんが、この機能があれば安心です。

    ※音域チェックで黄色で表示される音符は、印刷時には色はつきません。画面表示が煩わしい場合は「不使用」にすることで警告されなくなります。

(b)自動で音域調整


Finale

  • 最高峰のFinaleでは、楽器を識別して無理のない音域に自動でオクターブ移調する機能も用意されています。例えばピッコロの音符をチューバにコピーすると、自動でオクターブ低く移調してくれます。(「環境設定>編集>異なる楽器へのコピーまたは変更時に音域を考慮する」によりオン/オフを設定できます。)

 

(c)ピアノ・リダクションの作成


Finale

  • 大譜表に集約された五線をパート譜表示したところ作成された大譜表をパート譜表示(メニューから、書類>パート譜の編集>”作成された五線名” を選択)すればピアノ・リダクションとして活用できます(自動処理で大譜表にまとめられているので、最適なピアノ・リダクションにするには、相応の編集や修正が必要な場合もあります)。

(d)ページ・フォーマット


Finale

  • 「書類>ページ・フォーマット>パート譜」で五線の大きさを10mmに設定して大きな表示に様々な環境で演奏することも多い管楽器ですが、オーケストラピットの中や照明の暗い演出では、なるべく大きく楽譜を表示したいこともあるのではないでしょうか。五線の幅が6mmの楽譜を「6ミリ譜」といった呼び方をしますが、最高峰のFinaleでは、五線の幅の設定も可能です。

    ※ページ・フォーマットで設定後にレイアウトツールの「レイアウト>ページの再フォーマット>表示中の楽譜の○○のページ」を実行するまでは、表示は更新されません。


SongWriterとPrintMusicの違いについて

ここで事例に挙げたようなスコアを制作する場合は、SongWriterとPrintMusicの間で完成品に違いはありません。ただし、操作性や応用性に関し、両製品は以下のような違いがあります。

  • PrintMusicではSongWriterに搭載されていない高速ステップ入力を用いることで、同じ楽譜をより短時間に制作することができます。
  • PrintMusicではパート譜の抽出も可能であり、バンドスコアを制作すればキーボードのパート譜などを簡単に制作することができます(パート譜とは一つの楽器のみを取り出した楽譜で、5〜6分程度の曲ならば多くの場合、譜面台に乗るA4で2枚程度のスペースに曲全体を収めることができます)。
  • SongWriterは小規模アンサンブル向きで、パート数は最大8パートですが、PrintMusicでは最大24パートでオーケストラなど大規模アンサンブルも扱うことができます。

 

クリックしてオンライン・ビューアーを表示

違いをオンライン・ビューアーまたはFinaleファイルでチェック!

最後に、それぞれの製品で制作した楽譜を掲載します。右のオンライン・ビューアーまたは各Finaleファイルをご覧ください。

NotePadにできること:管楽器編 [NotePadファイルのダウンロード]
SongWriterにできること:管楽器編 [SongWriterファイルのダウンロード]
PrintMusicにできること:管楽器編 [PrintMusicファイルのダウンロード]
Finaleにできること:管楽器編 [Finaleファイルのダウンロード]

※下位製品では上位製品のファイルを開くことができませんので、オンライン・ビューアーをご覧ください。

 

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