読みやすい楽譜を用意する。限られた作業時間を乗り切る。やりたかった編曲を始める。全ての吹奏楽指導者の皆様へ向けた、Finale活用術のご紹介です。

Vol.3 指導や練習と楽譜のよい関係:Finaleを活動に取り込む

楽譜は演奏の要。ただ音符を入力するだけではなく、少し工夫することで演奏や練習のプラスになることでしょう。今回は、日ごろの活動にFinaleを取り込む、ちょっとしたヒントやアイディア、便利機能をご紹介します。

一度Finaleへ入力すれば、手書きと異なり、そこから先は編集の可能性が広がります。別記事「楽器別フィナーレ活用術VOL.3:管楽器編」には高速ステップ入力を始めとしたFinaleならではの快適な音符入力方法をご紹介していますので、併せてご参照ください。

ー目次ー

1. パート譜でひと工夫|複数パート譜の楽譜、五線のサイズや長休符の調整
2. 楽譜の体裁:ビッグバンド風の楽譜にするなら
3. プレイバック機能を練習で活用
4. 配布は、印刷で紙、PDFで電子
5. まとめ
6. 関連記事リンク集

吹奏楽アレンジのためのFinale活用術

 

1. パート譜でひと工夫|複数パート譜の楽譜、五線のサイズや長休符の調整

思い通りのレイアウトができるようになると、グッと楽譜の出来栄えが良くなります。パート譜は演奏の本番で目にする楽譜です。読譜しやすく、勘違いや間違いがおきないよう準備したいものです。

複数パートをあわせて1つのパート譜とすることも可能

<複数パートをまとめた楽譜>

Finaleでは、スコアとリンクしたパート譜が、自動で用意されているのは、Vol.1でもお伝えしたとおりです。自動生成されたものでも十分な楽譜ですが、「パート譜の管理」では、カスタマイズが可能です。

複数のパートをまとめることもできるので、例えば、持ち替え楽器のある奏者用に2つのパートがまとまった楽譜を用意したり、セクション練習で互いのパートを確認しあえる楽譜を作成して研究したり、といった活用法も広がります。

ページ・フォーマットで、五線サイズやマージンなどの一括管理が可能

<大きめの五線>

楽曲の難易度や演奏レベルによっては、五線サイズを大小変更すると演奏しやすい場合もあります。

「パート譜の管理」で、全パート譜の五線サイズを一括で管理したり、ページ・フォーマットで個別に調整したりすることも可能です。

※Finaleのオンライン・ユーザーマニュアルで、ページ・フォーマットの詳細をご覧いただけます。

自動で長休符が作成され、条件なども詳細に設定できる

<長休符の設定>

長休符は、パート譜の特徴のひとつです。休む小節数をまとめ、数値で表すことで、構成も把握しやすくなり、数え間違いなどのケアレスミス予防にも役立つでしょう。

自動生成されたパート譜では、自動で長休符にまとめられます。

右クリックから簡単に長休符にできる

自動作成をオフにして自分で処理する場合は、対象小節を選択しておき右クリックからメニューを選ぶだけです。

二重小節線や拍子の変わり目では長休符が自動的に分割されるなど、作業を簡単に行うことができます。

 

2. 楽譜の体裁:ビッグバンド風の楽譜にするなら

セットアップ・ウィザードで手書きを選択すると、Broadway Copyistフォントが記譜フォントに指定される

楽譜の見た目には、ある種の雰囲気というものがあり、時としてモチベーションアップや初見力などにも影響する場合があります。

吹奏楽では多様なジャンルの楽曲を演奏しますが、例えば「手書き」にすると、ジャズやポピュラー向けの手書きフォントである「Broadway Copyistフォント」が指定されて、ジャンルを意識した楽譜を用意することができます。

用意は簡単で、セットアップ・ウィザードで「手書き」を選択するだけです。

※Finaleのオンライン・ユーザーマニュアルで、Broadway Copyistフォントの詳細をご覧いただけます。

「手書き」では、用意されている記号類も異なる

「手書き」では、ミュート類が充実しているなど、手書き風に適した記号が用意されています。

 

3. プレイバック機能を練習で活用

特定のパートだけソロにしてプレイバックを確認

Finaleは、楽譜を演奏させるプレイバック機能も充実しています。

ミキサーを表示すれば、五線ごとのボリューム、ソロ・ミュート、パンニングも簡単におこなえます。

自分のパートや同じフレーズの楽器群だけをソロで流す、絡み合う旋律を紐解いて分析する、といった研究や音の資料にすることも可能です。

なお、このプレイバックは〔ファイルメニュー>エクスポート>オーディオ・ファイル〕にて、CDなどに書き込めるWAV形式などで書き出し、練習用のマイナス・ワン音源などを作成することもできます。

 

4. 配布は、印刷で紙、PDFで電子

オーディオファイル、EPUB、SMF、MusicXMLなど、さまざまな形式でのエクスポートが可能

コンピューターの活用は必須と言える昨今、吹奏楽団体のように大人数での活動では、電子化した楽譜を導入することで、指導や練習にあらたなアイディアが生まれるかもしれません。

紙に印刷した楽譜はもちろんのこと、メールに添付するためにPDFファイルにしたり、電子書籍のEPUB形式に書き出したりと、Finaleなら柔軟に様々なファイル形式に対応できます。

※Finaleのオンライン・ユーザーマニュアルで、EPUBファイルの詳細をご覧いただけます。

EPUB形式で書き出しiPadのiBooksで開いた。活用アイディアが広がる

こちらはFinaleからEPUB形式で書き出した譜面データをiPadのiBooksで開いたところ。活用アイディアが広がりそうです。

 

5. まとめ

これまで3回に分けて、吹奏楽アレンジにフォーカスしたFinale活用術をご紹介してきました。Finaleは、「こうしたい!」に応えてくれる頼りになる楽譜作成ソフトウェアです。たくさんの機能が備わっていますが、全てを把握するというよりは、必要な機能を上手に見つけて活用することこそが、使いこなしのポイントと言えるでしょう。


 

6. 関連記事リンク集

 

《吹奏楽アレンジのためのFinale活用術》姉妹編

《吹奏楽に関連したインタビュー記事》

  • 小編成の吹奏楽アレンジをFinaleで:例年の部員数わずか10名少々という規模で様々なコンクールにて実績を重ねる仙台城南高等学校・吹奏楽部と、同校に楽曲を提供する作曲家、片岡寛晶氏との仙台-東京間でのコラボレーションの事例をご紹介します。
  • 本田 雅人さんインタビュー:ビッグバンドにも力を注ぐ、ジャズ・フュージョン系では日本を代表するウインド楽器プレイヤー、本田雅人氏へのインタビュー記事です。

《楽器別フィナーレ活用術》

  • 楽器別フィナーレ活用術VOL.3:管楽器編:各種ミュートやゲシュトップ、グリッサンドなど管楽器独特の奏法指示や記号、楽器ごとの移調設定などをご紹介しています。
  • 楽器別フィナーレ活用術VOL.4:打楽器編:音符入力、LR/ストローク表記、ハーフタイム・シャッフルなど連符フレーズの入力、符頭の変更、装飾音符やアーティキュレーションなど、実際の打楽器スコアや教材などを作成するための広範な内容を網羅しています。

《Finale TIPS》※以下、管楽器の楽譜制作に特に役立ちそうなものをピックアップしました。

《Finaleの基本操作を学べるリソース》

  • 譜例で操作方法を検索:Finaleオンライン・ユーザーマニュアルより。Finaleで可能なこと、それを行うための操作法が一目で分かり、初心者の方には特にお勧めです。
  • クイック・レッスン・ムービー:Finaleの操作方法や便利な機能などを30〜60秒程度の短い映像でご紹介しています。

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