TIPS 19. 曲番号を五線の左に表示する

【対象グレード】Finale

今回はTIPS 18. 複数曲を含む楽譜を作成する(ピアノ譜の例)の続編で、組曲や教則本などでよく見られる、複数曲を含む楽譜で任意の曲番号を中括弧の左に表示させる方法を紹介します。

ここでご紹介する発想記号ツールを用いた方法であれば、作成も管理も簡単でお勧めです。

複数曲を含む楽譜を作成する

なお、記事の終わりから、この設定を施したテンプレート、およびその実際の入力事例の.musxファイルもダウンロードできます。

(本記事に示す数値やフォント設定は、あくまで一例です。ご自分のお好みに合わせて調整してみてください。なお、ここで使用する楽譜は事例であり、実際の曲の記譜法とは異なる部分があります。)

【関連TIPS記事へのリンク】
TIPS 18. 複数曲を含む楽譜を作成する(ピアノ譜の例)
TIPS 20. 複数曲で曲名をパート譜に表示させる


既存の五線名がある場合は、予めそれを非表示に

まず、準備として、五線名が表示されている場合は、これを非表示にします。

既存の五線名がある場合は、予めそれを非表示に

五線名を非表示にする手順は以下です。

  1. 五線ツールを選択
  2. グループ名(ここではPiano)のハンドルをダブルクリックして〔グループ属性の編集〕ダイアログボックスを開く
  3. 「グループ名表示」のチェックを外す

なお、ソロ楽器など一段の五線の場合は、五線の属性で五線名を非表示にできます。(*注1)

発想記号の中からリハーサルマークの「1,2,3,4」を複製

次に曲番号を、発想記号として以下の手順で新たに作成します。

前回Tips 18の 「3-2. 曲名は発想記号を複製して流用する」で紹介した要領で、発想記号の中からリハーサルマークの「1,2,3,4」を複製して編集してみましょう。

  1. 発想記号ツールを選択
  2. 冒頭1小節目の1拍目をダブルクリックしてダイアログを開く
  3. リハーサルマークカテゴリー内の「1,2,3,4」をクリックしてハイライトさせ「複製」をクリック
  4. 複製された「1,2,3,4,」が選ばれているのを確認して「編集」をクリック
リハーサルマークの自動配列スタイルを応用

編集ボタンを押すと〔発想記号の設計〕ダイアログボックスが開きますので、ここで番号が自動配置されるよう設定します。

自動配列スタイルを使用」を有効にして、連番(1,2,3,4)で設定することで、番号が自動で割り当てられるようになります。

こちらの図は、通常の五線名と似たスタイルにしたい場合の設定例です。

発想記号ツールで入力する曲番号の設定

次に、曲番号がちょうど良い位置に自動配置されるように設定します。今回は以下の設定にすることで、大譜表のすぐ左で上下五線の真ん中に配置されるようになりました。

  • 中央揃え
  • 左小節線
  • 水平位置の微調整:-100EVPU(「-100e」と入力)
  • 五線下部ベースライン
  • ベースラインからの距離:-20EVPU(「-20e」)

設定が完了したら「OK」で閉じて「配置」をクリックすると、設定どおりの位置に配置されます。

上記の設定は一例です。大譜表ではなく一段の五線の場合は値も異なります(*注2)。適した数値は状況によって異なるので、数値を少しずつ変えてちょうど良い位置を探ってみてください。

【EVPUとは?】
小数点なく正確に値を設定できる、Finale独自の計測単位です。ファイル全体の計測単位をあらかじめEVPUに設定しておくと便利でしょう。Windows版では編集メニュー/Mac版ではFinaleメニューから設定できます。なお、初期設定の「インチ」を使用している場合でも、値の入力時に末尾に「e」を付けることによってEVPUで指定可能です。

曲番号の振り直し

途中の番号から始めたい場合は、曲番号として用いているリハーサルマーク番号を振り直します。

番号を変更したい箇所でハンドルを右クリックして「リハーサルマークの振り直し」を選択してください。続いて現れるダイアログボックスで数値を設定できます。

マクロキーを用いて2つ目以降の番号を素早く配置

2つ目以降の番号を配置するには、割り付け時に、直前に入力した記号を素早く入力できるマクロキー「-(ハイフン)」)を使うと便利です。以下の手順で操作します。

  1. 発想記号ツールを選択
  2. ハイフン(-)キーを押下
  3. 記号を配置する組段の先頭小節の1拍目をクリック
→配置される(連番でちょうど良い位置に配置されます)

  • ハイフンを押しながらクリックする操作は、直前に入力した記号繰り返し入力するマクロ機能です。連続して同じ記号を入力する際に、その都度ダイアログを開くよりもかなり時短になります。
  • 任意の組段で曲頭の左余白を設定する方法は、前回のTIPS 18で紹介しています。
  • 機能しない場合は、半角英数モードであることを確認します。(マクロキーは全角モードでは機能しません。)

(執筆:近藤隆史)

五線名を非表示にする

(*注1)五線名を非表示にするには、五線の属性の{表示する項目}で「スコア譜の五線名」のチェックを外します。

ソロ楽器での設定値の事例

(*注2)例えば以下の設定になります。

  • 中央揃え
  • 左小節線
  • 水平位置の微調整:-90EVPU(「-90e」と入力)
  • 小節(五線)の第5線
  • ベースラインからの距離:-72EVPU(「-72e」)


[参考用Finaleファイルのダウンロード]

本記事でご紹介した設定を施したテンプレート、およびその入力事例(バルトークによるピアノ小作品集《ミクロコスモス》の37-39)の.musxファイルは、以下のリンクから無料ダウンロードできます。Finaleをお持ちの方は、実際のファイルを見て設定をご確認いただけます。

  • お使いのOSとブラウザによってはダウンロード時に警告が表示される場合があります。
  • これらのファイルは最新バージョンのFinale 27で作成しています。旧バージョンのFinaleでは正常動作しない箇所があります。予めご了承ください。(SMuFL記号はFinale 26以前では正常に読み込めません。)
ピアノ5楽章テンプレート

 

入力事例《ミクロコスモス》

 


 

《編集後記》
曲番号を五線の左に表示するには、五線名を五線ツールを使用して編集する方法もありますが、その場合は上記よりも作業や管理が複雑になり、お勧めではありません。一方、発想記号ツールは上述のように入力位置を指定できる性格を持つため、テキスト配置に関して様々な応用が可能です。

このように通常とは別のツールを用いる方が効率的なことがあるので、ツール名に拘り過ぎないというのもFinale使いこなしのポイントの一つかと思います。

〔五線の属性〕ダイアログボックスを表示

例えばドラムのLRを発想記号ツールやアーティキュレーション・ツールではなく、個々の音符に一列にぶら下げられる歌詞ツールを使って書くなども、同じ発想と言えます。(詳細は楽器別活用術:打楽器編をご覧ください。)

よろしければ、この記事に関する皆様のご意見・ご感想をお寄せ下さい。


Finale 27では、日本語版独自の機能として、SMuFL記号を活用し新たにデザインしたテンプレート集を搭載しました。これはFinale 27で新設した起動パネル左下のボタンからアクセスできます。

このFinale 27用テンプレート集には、今回のテンプレートも含めて、今後さまざまなテンプレートを追加していく予定です。ぜひご期待ください!

起動パネルからテンプレート集へアクセス

 

関連記事リンク集

 

《Finaleの基本操作を学ぶために》

  • 譜例で操作方法を検索(Finaleオンライン・ユーザーマニュアルより。Finaleで可能なこと、それを行うための操作法が一目で分かり、初心者の方には特にお勧めです。)
  • クイック・レッスン・ムービー(Finaleの操作方法や便利な機能などを30〜60秒程度の短い映像でご紹介しています。)
  • Finaleを学ぶ(Finaleを学ぶための記事一覧です。)

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