ギタリスト必見!YOUNG GUITARのタブ譜はなぜ見やすく美しいのか

- 編集部に突撃インタビュー、その謎を解き明かす! -【後編】
『ヤングギター』誌とFinale

トップ・ギタリストからアマチュアのギターファンまで、HR/HM(Hard Rock/Heavy Metal)系を中心に長年多くの読者に愛される雑誌「ヤング・ギター」。出版業界で広く利用されるFinaleですが、ヤング・ギターに掲載される楽譜も例外なくFinaleで制作されています。

そのヤング・ギター編集部に、クラブフィナーレが突撃インタビュー!インタビュー後編では、HR/HM曲を楽譜化するにあたってのFinaleの強みなどを語っていただきます。

さらに、坂東氏オリジナルの8弦ギター曲の楽譜2曲目を公開!前編でご紹介した1曲目に続き、プログレッシブな変拍子とこだわりの楽譜をお楽しみください。

 

なお、坂東氏ご自身の手による楽譜は、PDFファイルとして本記事の末尾からダウンロードできます。出版クオリティの楽譜のこだわりをぜひご覧ください。さらに読者プレゼントとして、ヤング・ギター誌の掲載スコアを参考にクラブフィナーレ編集部で作成したタブ譜のテンプレートもご用意しました。

【目次】
HR/HMの楽譜は意外とシンプル
楽譜があると音楽を分析的に見ることができる
関連ファイルのダウンロード


HR/HMの楽譜は意外とシンプル

美しいギタータブ譜 すごいクオリティですね!

ありがとうございます。2曲目は、チョーキングなどエレキギター的な表現をさらに追求したソロを乗せています。

作曲と演奏、音源制作は全て坂東さんが?

はい、そうです。楽譜に関してはまだ制作途中の部分もありますが、スケジュールの都合でタイムアップになってしまいました(笑)

楽譜は先ほど仰っていた通り、スペーシングへのこだわりが見られます。
Finaleでスペーシングの微調整を

2パート以上の楽譜の場合、Finaleのデフォルトだと、2パート目の音符は1パート目の音符に合わせて自動配置されることがありますよね。

今回の楽譜はバッキング側はなるべく均等に、リード側は連符が見やすいように詰めたり開いたりといった具合に、少しずつ音符をずらして調整しました。

しかし個別のパート譜を作る場合は、それらを気にせずデフォルトのままで充分だと思います。

速弾きのフレーズを全て採譜すると、こんなに細かい楽譜になるんですね。

HR/HMの楽譜って、ギターの楽譜の中ではシンプルな方だと思うんです。むしろ、コードをたくさん使うようなジャンルの楽譜のほうが難解というか……難しさの質が違うんでしょうね。

HR/HMの曲を採譜する時は、ゴーストノート等の詳細なニュアンスも漏れなく書くのでしょうか。
エレキギター奏法ではブラッシングはグルーヴ感を醸し出すために重要

はい、書きます。むしろヤング・ギターはそれを読者に期待されています。

「ゴーストノート」という言葉のイメージで重要でないように感じてしまいますが、これが入ってるか否かでグルーヴ感が大きく異なりますよね。ただの休符なのか、ブラッシングという少しパーカッシヴな「×」が入っているのかの違いは、聴き手が意識しなくても耳に入ってくるんです。個人的にはすごく大事だと思っています。

HR/HMの曲を楽譜化するにあたって、Finaleの強みはありますか?
似たようなモチーフはコピペできるのが、手書きにないFinaleの強み

手書きとの差は一目瞭然です。「繰り返しを書かなくて済む」というところに尽きますね。似たようなモチーフの展開も、最初のモチーフをコピペして、後からずらしていくと作業が早く便利です。

また、Finaleの連符ツールは非常に使いやすいですね。今回の曲は1拍9連符が続きますが、自分の曲を採譜して「意外と整然とした連符だったんだ」って気づいたり(笑) 。リズムが書きやすいというのは強いと思います。

Finaleでは音符入力後も拍子を変更できる

あとは変拍子。この曲の後半は「4/4・7/8」の連続にしているのですが、後々「5/8 ×3回でも行けるな」と気づいたんです。これ、Finaleなら簡単に書き直せますよね。

後からより理に適った拍子の書き方に気づくことがあるので、プログレには持ってこいだと思います。浄書ソフトを使うとすごく綺麗に書けるので、プログレの創作意欲が湧きますね(笑)

オリジナル曲を作っているバンドマンも使いやすいですね。

「自分の曲の楽譜を販売したい」という方は、まさにFinaleでしょう。綺麗さやクオリティを突き詰めたら、世界最高峰のレベルの楽譜を制作できると思います。

楽譜があると音楽を分析的に見ることができる

ヤング・ギターの今後の展開は?
今後もマニアックな楽譜を掲載していきたいと語る坂東氏

インターネットの発展に伴い、ヤング・ギターは「様々な情報が載っている雑誌」から「ひとつのアーティストを深く深く掘り下げる特集誌」に変化してきました。今後もこの特集主義を続けると思います。

また、「楽譜が好き」という方ってたくさんいると思うんです。今はYouTubeなどで本人の映像を簡単に見られる時代で、それを真似するのが一番手っ取り早くはあります。ただ「ここのリズムって正確にはどうなってるんだろう」という、映像と音だけでは分からない数学的なリズム割などを、目で見て分析するために楽譜があると思うんです。ですので、今後もマニアックな楽譜を掲載し続けて行きたいと思います。

ヤング・ギター YOUNG GUITAR

株式会社シンコーミュージック・エンタテイメント発行の月刊ギター専門誌(創刊号: 1969年5月号)

https://youngguitar.jp/

坂東 健太
ヤング・ギター誌の副編集長、坂東健太さん

株式会社シンコーミュージック・エンタテイメント ヤング・ギター編集部 副編集長

兵庫県西宮市出身。18歳の頃からギターを弾き始めてバンド活動に勤しみ、ハード・ロックやヘヴィ・メタル系のギター・プレイに没頭。2000年に株式会社シンコーミュージック・エンタテイメントへ入社し、同年から22年に渡ってギター専門誌『ヤング・ギター』の編集に従事する。

 

【関連ファイルのダウンロード】

作曲者である坂東氏のご厚意により、本記事でご紹介した楽譜のPDFファイルを以下に公開いたします。

PDF楽譜1のダウンロード

PDF楽譜2のダウンロード

さらに、ヤング・ギター誌の掲載スコアを参考にしたタブ譜のテンプレートをクラブフィナーレ編集部にて作成してみました。演奏記号も「1H.C」「Q.C」など、ヤングギター誌と同じ仕様のものをプリセット。Finaleをお持ちの方はぜひご活用ください。

  • お使いのOSとブラウザによってはダウンロード時に警告が表示される場合があります。
  • これらのファイルは最新バージョンのFinale 27で作成しています。旧バージョンのFinaleでは正常動作しない箇所があります。予めご了承ください。(SMuFL記号はFinale 26以前では正常に読み込めません。)
Finaleでは音符入力後も拍子を変更できる

YG風タブ譜テンプレートのダウンロード

 

 


Finale 27では、日本語版独自の機能として、SMuFL記号を活用し新たにデザインしたテンプレート集を搭載しました。これはFinale 27で新設した起動パネル左下のボタンからアクセスできます。

このFinale 27用テンプレート集には、今回のテンプレートも含めて、今後さまざまなテンプレートを追加していく予定です。ぜひご期待ください!

起動パネルからテンプレート集へアクセス

 


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