連載「電子楽譜のはなし」

この記事をご覧になっている方なら、どこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。“電子レンジ”でも“電子ピアノ”でもない“デンシガクフ”。言葉の響きからして何だかむずかしそう・・・。

「楽譜はやっぱり紙、電子楽譜なんて縁のないもの」とお思いのあなたも、きちんと知れば、“電子楽譜”との理想的な付き合いかたにきっと気づくはず。

vol.1:最近よく耳にする“電子楽譜”ってなに?

 


1. まずは楽譜の歴史をおさらい

15世紀頃のネウマ譜

私たちが手にしている楽譜の原型は9世紀頃に生まれたとされています。線や記号で音楽を紙の上に記録する試みがヨーロッパ各地でみられ、「ネウマ譜」という記譜法が確立されました。

15世紀頃までには現在のような五線譜が用いられるようになり、活版印刷の普及によって楽譜文化は一気に開花したのです。

“録音”という術がなかった19世紀頃までは、音楽を形に残せる唯一の手段として楽譜は極めて重要なもの。

当時の音楽家にとって楽譜出版社や浄書職人は必要不可欠な存在であり、音楽芸術の発展とともに楽譜文化も成熟していきました。

銅版の楽譜版下

そして時は進み現代へ。あらゆる分野で情報化が進み、当然のように楽譜もコンピュータで作られるようになっています。

そして、いま世間を賑わせている『電子書籍リーダー』の登場で、文芸作品からファッション雑誌まであらゆる書物が電子データで閲覧できるようになりました。

楽譜の世界でも「音の出る楽譜」や譜めくりを自動で行ってくれる楽譜など、新しいアイデアが次々と生まれています。まさに“楽譜新時代”の到来です!

 


2. 電子楽譜の歩み

1989年にFinaleのバージョン1.0が登場!

“電子楽譜”という言葉自体は、2000年頃から聞かれるようになってきました。まず最初に生まれたのが、もともと紙の楽譜集として販売されていた楽譜を一曲ずつPDF形式の電子ファイルに変換して販売するサービスでした。

必要な時に必要なだけ楽譜が手に入る環境が実現されたのは画期的で、こういったサービスは今でも盛んに行われており、“電子楽譜”が生活に溶け込むきっかけを作ったと言えるでしょう。

ただ、PDF形式の楽譜からは音は出ません。そのため、サービス提供元の各社は、MIDIデータを付属させたり、独自のフォーマットで「音の出る楽譜」を実現したりと、様々な試みがなされてきました。“電子譜面台”なる商品の登場も記憶に新しいところです。

こういった光景、もはや珍しいものではなくなりました。

また、PDF楽譜の販売サービスは、当初は印刷して紙の状態で使用することを想定していましたが、今ではハードウェアの普及に伴って、印刷せずにノートパソコンの画面上に表示させて使用するケースも格段に増えてきました。

そして2010年、Apple社のiPadをはじめとするタブレット型端末の登場によって、電子楽譜の風景はがらっと変化を遂げようとしています。楽譜を閲覧するためのアプリが次々と開発され、譜めくり時の美しいアクション、書き込みの共有、ジェスチャー譜めくり、楽譜の購入機能など、様々なアイデアが搭載されています。

このように、電子楽譜の世界はハード、ソフトの両面において次世代フォーマットを求めてまさに進化のまっただ中にあるのです。

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3. 関連記事リンク集

 

《連載「電子楽譜のはなし」》

《連載「楽譜浄書のはなし」》

《連載「DTMのはなし」》

《楽譜作成ソフトウェアの導入メリットを考える》

《Finaleの基本操作を学べるリソース》

  • 譜例で操作方法を検索:Finaleオンライン・ユーザーマニュアルより。Finaleで可能なこと、それを行うための操作法が一目で分かり、初心者の方には特にお勧めです。
  • クイック・レッスン・ムービー:Finaleの操作方法や便利な機能などを30〜60秒程度の短い映像でご紹介しています。

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