Vol.1:日本式のギタータブ譜を作る

Finaleは米国生まれのソフトウェアゆえ、楽譜表記のルールや慣習が米国仕様になっているケースがあります。その一つの例がギタータブ譜で、通常の手続きでセットアップ・ウィザードからタブ譜を設定して楽譜作成を進めていくと、日本で一般的なスタイルとは異なるタブ譜が作られます。

ー目次ー

1. 欧米式と日本式の違い
2. 日本式の符尾付きタブ譜を作るには
3. 二分音符や全音符に対応した数字を○で囲む
4. 関連記事リンク集

 


1. 欧米式と日本式の違い

欧米式のタブ譜(左)と日本式の楽譜(右)

まずは、欧米式と日本式のタブ譜の違いを見てみましょう。

大きな違いとして、それぞれ下記のような特徴があることにお気づきになることでしょう。

<欧米式>

  • タブ譜内に符尾がない
  • タブ譜内に休符がない
  • グループ括弧(パーレン)がない
  • 五線とタブ譜をつなぐ小節線が分断されている
  • 2段目以降、音部記号としての「TAB」表記がない

<日本式>

  • タブ譜内にも符尾が表記されている
  • タブ譜内にも休符が表記されている
  • グループ括弧(パーレン)がある
  • 五線とタブ譜の小節線は繋がれている(ピアノ譜のように)
  • 2段目以降、音部記号としての「TAB」表記がある

他にも細かい違いはいくつかありますが、欧米式と日本式では、同じ曲でも出来上がった楽譜の見た目はこれ程までに異なっています。

 


2. 日本式の符尾付きタブ譜を作るには

セットアップ・ウィザードの中には「符尾付きタブ譜」という選択項目もあるのですが、これを使用しても思うようには機能してくれません。

そこで是非活用いただきたいのが、Finale日本語版だけに付属している「テンプレート」です。新規作成の際は、セットアップ・ウィザードからではなく、「ファイル」メニュー>「新規作成」>「テンプレートからの新規ファイル」を選択してください。

すると「テンプレートから開く」という選択ウィンドウが現れ、いくつかのカテゴリーが表示されます。この中から「軽音楽」>「ギタータブ譜」を選択してみましょう。すると、符尾や休符を表示するよう設定されたタブ譜が自動的に作成されます。このテンプレートを用いれば簡単に日本式のタブ譜を作成することが可能です。

(※なお、Finaleでは設定により既存の欧米式タブ譜を日本式タブ譜に修正することも可能です。詳細は楽器別フィナーレ活用術VOL.1:ギター編をご参照ください。)

 


3. 二分音符や全音符に対応した数字を○で囲む

各種のタブ譜用囲み図形が用意されています

日本式のタブ譜では、二分音符や全音符に対応する数字は○印で囲む慣習があります。この○印は自動的に付くものではありませんので、自力で入力する必要があります。

上述の日本式テンプレートには、発想記号ツールのキャラクタ・リスト内に色々なサイズの○印記号が登録済みですので、発想記号ツールで入力していきましょう。

▼今回使用した「日本式」「欧米式」それぞれのFinaleファイルは以下のボタンをクリックにてダウンロード可能です。

 


4. 関連記事リンク集

 

「特殊楽譜にチャレンジ!」シリーズの他の記事も、宜しければご一読ください。事例として取り上げた楽器は違いますが、ここからFinaleに搭載されたさまざまな機能の応用方法を考えるためのヒントが得られるかも知れません。

「楽器別フィナーレ活用術」のギター編には、タブ譜以外でもベンドやスラー、リードシートの書き方なども網羅されています。

ギター・スコア制作にも役立つ、Finale操作のちょっとした小技の記事をご紹介します。

《Finaleの基本操作を学べるリソース》

  • 譜例で操作方法を検索(Finaleオンライン・ユーザーマニュアルより。Finaleで可能なこと、それを行うための操作法が一目で分かり、初心者の方には特にお勧めです。)
  • クイック・レッスン・ムービー(Finaleの操作方法や便利な機能などを30〜60秒程度の短い映像でご紹介しています。)

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